●日時:01/18(木)
●場所:BANANA HALL
東京・秋葉原から全国に普及したオタク文化。アニメ、ゲーム、フィギュア、声優、メイド喫茶・・・様々なキーワードによって説明されるこのムーブメントの中で、Sound Horizonは、独特の存在感を放ち、熱狂的な支持を集めている。アニメやゲームからのイメージを曲にしたり、もともとあるアニメ主題歌やゲームBGM などをアレンジしたりする「同人音楽」。そこから出発したSound Horizonは、まさにオタク文化の申し子と言える・・・
と偉そうな事を言いつつ、Sound Horizonを知ったのはつい最近。オタク文化に疎い私は、今回のLIVEにスタッフとして参加する事になり、その存在を始めて知る事となった。(申し訳ない!)
Sound Horizonは作詞、作曲、編曲を担当するサウンドクリエーター「REVO」を中心とする音楽ユニットである。REVO以外のメンバーは、その都度変わっていく。現在のラインナップは、西洋の貴婦人のようなドレスに身を包む女性ボーカリスト「Aramary(あらまり)」(今回のイベントには不参加)、白髪マッシュルームカットに怪しいパーティー?で装着する目だけ隠れるマスクをつけたMC担当アビス、(演じているのは「じまんぐ」)演奏を担当する「幻想楽団」(今回のイベントはギター、ベースのみ)となっている。
今回のイベントは、彼らが2005年7月に行った「なかのZERO」でのLIVEを収録したDVD「Elysion~楽園パレードへようこそ~」の発売を記念してのプレミアム上映会である。
会場となったバナナホールには、東京の秋葉系に対する大阪のポンバシ系(日本橋)オタクの人々が埋め尽くし・・・という訳ではなく、普通のカップル、セーラー服を着た女子学生、(もちろん中にはメイド風の服装をした女性もいる)某超有名吉本芸人(!)など、様々な人々が集結した。それは、オタクのみに愛でられていたSound Horizonが、一般の人々にも受け入れられてきたという証拠でもある。接するキッカケさえあれば、一般大衆も引き付ける魅力をSound Horizonは持っているのだ。
まずはオープニング。立錐の余地もないぐらい満員の観客の期待がピークに達した瞬間、会場は暗転し、SEが流れる。それと同時に、不気味な高笑いが聞こえ出した。観客からは「オォー!」という興奮の歓声と、なぜか笑い声が交錯する中、舞台ではなく客席下手にスポットライトが!そこに立っていたのはアビス!客席からの登場に、観客も度肝を抜かれている様子。アビスが観客に向かって独特の口調で話し出した瞬間、会場に拍手と笑いが巻き起こる。観客に毒舌を吐きつつも笑いを取る彼の「客いじり」テクニックは、お笑いの構成作家を5年していた自分が見ても、見事と言うしかない。この男、只者ではない・・・
観客の心を完全に把握したアビス、いや、じまんぐの神業的トークによって、会場の熱気は一気に高まる。
そして彼の合図により、DVD上映会がスタート。舞台中央に設置されたスクリーンには「なかのZERO」で行われたLIVE映像が映し出された。約80分に渡って繰り広げられる幻想的なLIVE映像を一瞬もダレる事なく、見続ける観客。それはSound Horizonのカリスマ性と音楽的完成度の高さを感じるには充分すぎる光景であった。
DVD上映が終了した後は、REVO、アビス、幻想楽団のLIVEや、REVOのアコーディオンによる、某人気トーク番組で使用された「過ぎ去りし永遠の日々」のインスト演奏、エルム街の悪夢、ポルターガイスト、米ロックバンド「マリリン・マンソン」のPVなどを手がけ、なかのZEROでのコンサート演出、DVDの監修を行った世界的特殊メイクアップアーティスト、「スクリーミング・マッド・ジョージ」を迎えてのトークコ-ナーなど、多彩かつ、SHの魅力を存分に理解できる内容で、失礼ながら、Sound Horizonについて知識の多くない私でも充分楽しめる内容となった。
途中、観客との合唱用に準備した歌詞カードをアビスならぬ「エビス」という謎の男が盗むという、ハプニング演出もあり、観客の予想を裏切る展開は見る物を飽きさせず、全体を通して「観客に楽しんでもらいたい」という強い意志を感じた。
そして今回、なによりも圧巻だったのはSound Horizonの楽曲の凄さ。複雑な構成の楽曲と人間の声が織り成す組曲的幻想ミュージック。演奏力と物語性の高い歌詞をもってはじめて成立する Sound Horizon独自の音である。エンターテイメントであり、芸術としても語れる彼らの音楽、LIVEはこれから日本に、そして日本のオタク文化に注目する世界に旋風を巻き起こすかもしれない。そんな予感をさせるに充分な可能性をSound Horizon、そしてREVOは秘めている。
最後のアンコールで観客が総立ちとなり、拳を上げて合唱する様は、パンクLIVEと見間違えるほどの熱気と興奮に満ちていた。舞台上のメンバーが曲の最後にジャンプした時、観客も全員がジャンプした。着地した瞬間の「ドスン!」という重い音は、Sound Horizonが今までの「陰なオタク文化」のパブリックイメージを、叩き壊した音だったのかもしれない。
スクリーミング・マッド・ジョージも参加し、更に「外」へと動きだしたSound Horizon。
彼らのこれからに注目して欲しい。

